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世界と君の重さ「プロローグ」

「世界と君の重さ」   作:ひでひで


<プロローグ>

中1の時、ホームルームで担任の先生が質問した。

「みなさんの将来の夢は何ですか?何人かに応えてもらいましょう。」

担任の先生は教室内を見まわして、おれと目が合ったところで視線を止めた。

「えーと、それじゃあまずは上杉君。」

先生の口癖は「夢は大きく持ちなさい」だ。

おれの夢は、これ以上ないってくらいでかい。

きっと褒められると思って、元気よく笑顔で答えた。

「世界征服です!」

クラスメートたちの嘲笑の中、残念そうな顔をしたあと先生は、軽くおれをにらんだ。

「上杉君。真面目に答えなさい。」

 何が不真面目だったか分からないおれは、家に帰ってから父さんに相談した。

「父さん。今日学校で先生に将来の夢を聞かれたんだけどさ…」

「おう。」

おれの父さんは何でも知っている。

地元の漁師仲間でも一目置かれている、自慢の父さんだ。

今までどんな質問にも答えられなかったことはない。

「世界征服って答えたら真面目に答えろ、って怒られちゃった。ぼく、まじめだったんだけど…」

「…そうか。」

 小さくうなずいた後、父さんは腕組みをして少し間をおいた。

「歳也。返事をする時、どんな感じで答えたんだ?」

「どんな感じって、笑顔で元気よく、だよ。」

「なるほど。」

父さんは大きくうなずいた。

「授業中にもかかわらず、笑顔なんかで答えたから先生は怒ったんだろう。授業中は常に真面目な顔をしろ、ってことだ。」

さすが父さんだ。

確かに授業中に、にこにこ笑うのは良くない気がする。

今度から授業で質問に答えるときには、真面目な顔をすることにしよう。


>世界と君の重さ「第1章」①へ
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